ガラス越しの「いないいないばあ」|白血病の夫と1歳の息子、無菌室での面会記録
今回は、ピーマンシリーズの中でも、わたしが一番忘れられない話をします。
無菌室のガラス越しに行われた、父と息子の「いないいないばあ」の話です。
ちょっと長くなりますが、最後まで読んでもらえたら嬉しいです。
転院、そして無菌病棟へ
ピーマンは一度、数値が良くなって退院できました。
「よかった、これで日常が戻る」
そう思った矢先の、再発。短い期間でした。ピーマンが退位して家族と過ごせたのはたった半年。体力がないピーマンは子どもと遊ぶことも満足にできないまま、入院することになりました。
当時のピーマンにとっては絶望に等しいものでした。
そして、全く知らない病院への転院。この転院前の手続きがピーマンには大変で一人で電車で行かなければならなかったんです。
当時のわたしは、子ども2人を文字通り抱えて生活する日々で、ピーマンを車で送ることが難しかったんです。
でも、ピーマンは何も言わず電車に乗って病院まで行ってくれました。
久しぶりの電車。人で溢れる駅、電車内、立っているだけでも辛い、寝てしまいたい、誰にも体調が悪いなんて気づかれない、また、菌をもらったらどうしよう・・・不安と心配、疲労で病院に着くころにはピーマンはすでにへとへとだったそうです。
自分がこれから過ごす無菌病棟の病室を車いすで眺めながら、『また、病院で過ごすのか。また、家族と離れるのか』とピーマンは思っていたそうで、看護師さんの話は全く耳に入っていませんでした。
一人で帰ってこれたのも奇跡みたいなものですw
当時、長男はまだ1歳。
パパが入院した時、まだ歩き始めたばかりの赤ちゃんでした。
身も心もボロボロになっていく夫
無菌病棟での治療は、想像を絶するものでした。
抗がん剤の副作用で、夜中に吐く。不安と体調の悪さから眠れない。起きていると不安に押しつぶれそうなので、毎晩飲んだことのなかった睡眠剤を飲んでいたそうです。
数値確認のために、腰に太い針を刺して骨髄を吸い出す検査。
ピーマンいわく、「神経を掃除機で吸われるような痛み」だったそうです。
聞いてるだけで腰が痛くなるわw
体力はどんどん落ちていく。
それでも「気持ちで負けたら終わりや」と、ピーマンは耐えていました。
でも、頑張れば頑張るほど、日々しんどくなっていく。
子どもとの触れ合いも、わたしとのコミュニケーションも、ずっと我慢してきた。
父親、夫として、何もしてあげられていない。
それがピーマンを一番苦しめていたと思います。
「家族に会いたい」という気持ちだけが日に日に強くなっていきました。
「どうにか子どもに会えませんか」
限界だったんでしょうね。
ピーマンは医師や看護師さんに相談しました。
「どうにか、子どもに会えませんか」
無菌病棟は感染リスクの関係で、面会が厳しく制限されています。小さい子どもなんて、本来もってのほかです。
それでも、病院側が用意してくれたのが、無菌室の外側にある、一般の人が立ち入れるスペースでした。
スペースと言っても、廊下みたいなもんですw
わたしは長男を連れて、そこへ向かいました。
次男は病棟の廊下で看護師さんに見守ってもらいましたw
ガラス越しの「いないいないばあ」
ガラスの向こうに、ピーマンがいました。

※イラストはイメージです。当時のピーマンは抗がん剤でツルッツルでしたw
長男はキョトンとしています。
そもそも、父親と認識してるかどうかも分からない状態です。
入院が長くて、物心つく前から会えてないんだから、そりゃそうだw
無菌室のガラス越しにできることなんて、ほとんどありません。
声も聞こえない。触れることもできない。
そこでピーマンが始めたのが、「いないいないばあ」でした。
わたしが長男を抱っこして、ガラスの前へ。
ピーマンがガラスの見えないところに隠れて、
「ばあ!」
(声は聞こえてないんですけどねw)
満面の笑顔で出てくる。
長男は、それを見てけらけら笑いました。
何も知らない、無邪気な笑顔で。
ずっと泣いていた夫
「ばあ!」と笑顔を作りながら、ピーマンはずっと泣いていました。
子どもに会えた喜び。
子どもに何もしてやれない悲しさ。
いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざって、涙が止まらなかったそうです。
笑顔で「ばあ」をしながら、ぼろぼろ泣いてる父親。
それを見て、けらけら笑ってる1歳の息子。
わたしも、つられて泣きそうになるのを必死にこらえていました。
なんで、うちの家族がこんな目に遭うんやろ。
正直、何度もそう思いました。
今だから言えること
あれから時間が経ちました。
ピーマンは元気になりました。
感染しやすかったり、二次がんのリスクがあったり、不安が完全に消えたわけではありません。
それでも。
朝起きたら家族がそろっていて、一緒にごはんを食べて、子どもの成長を一緒に見られる。
一緒に生活できること。それが何よりの幸せです。
だからといってピーマンへの不満がなくなるわけではありませんwわたしは聖母じゃないのでw
あのガラス越しの「いないいないばあ」を経験したからこそ、何気ない日常がどれだけ尊いか、わたしたち家族は知っています。
当時1歳だった長男は、もう中学生。
あの日けらけら笑っていた赤ちゃんが、今はパパと一緒にバレーボールをしています。
人生、何があるかわからない。
だからこそ、今この瞬間を大切に。
お金の勉強を頑張るのも、このブログを書くのも、全部「家族との時間」を守るためです。
【今日の自由になるための一歩】
今日、家族と過ごせる当たり前の時間に「ありがとう」と思ってみてください。それだけで、いつもの日常が少し違って見えるはずです。
周りへの感謝も大切ですが、何より今日一日を頑張って過ごせた自分に「ありがとう」と言ってみてください。自分を労わることが、周りへの感謝につながるとわたしは思います。
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